完全恋愛
著者名:牧薩次(著)
出版社:マガジンハウス
出版年:2008.01
ISBN :9784838717675
ビックリです。
あの辻真先が、懐かしの牧薩次(まき・さつじ=つじ・まさきのアナグラム)名義で、本格ミステリに挑んだ「完全恋愛」。
もちろん1970年代に、「仮題・中学殺人事件」などの牧薩次&可能キリコのコンビのシリーズを初めとして、数知れずミステリを書かれているわけですが、今年75歳になった、その辻真先が、こんなすごいミステリを書くとは思いもしませんでした・・・
冒頭のこの一文が、本書のテーマ。
他者にその存在さえ知られない罪を
完全犯罪と呼ぶ
では
他者にその存在さえ知られない恋は
完全恋愛と呼ばれるべきか?
お話は・・・
昭和20年…アメリカ兵を刺し殺した凶器は忽然と消失した。昭和43年…ナイフは2300キロの時空を飛んで少女の胸を貫く。昭和62年…「彼」は同時に二ヶ所に出現した。平成19年…そして、最後に名探偵が登場する。推理作家協会賞受賞の「トリックの名手」T・Mがあえて別名義で書き下ろした究極の恋愛小説+本格ミステリ1000枚。
まあミステリ部分は、ちょっと・・・と思うところも正直ありますが、上記のテーマに関しては、ラストにある真相が明かされて、やられた! と久々に感じました。
ヒロインの小仏朋音(こぼとけ・ともね)、山岸珠美(やまぎし・たまみ)などという美しい韻を踏んだ名前にうっとりしつつ読み進めていたら思い切り足をすくわれてしまいました・・・。
読んでて引っかかる部分がたくさんあるので、ラストはどういう風にまとめるのかと思っていたら、何とキレイに、しかも美しくまとめてくれました!!
もう、さすがは辻真先!! というしかありません。
それにしても完全恋愛≠ニは、かくも切ないものか・・・
ミステリとしては、不満もあるんですが、そこはいいです。書きません。
恋愛小説として読んで、涙して下さい。
話題性もあるので、年間のベスト争いにも入ってくるかもしれませんね。
仮題・中学殺人事件
著者名:辻真先(著)
出版社:東京創元社
出版年:2004.04
ISBN :9784488405137
