2008年08月23日

「スノウブラインド」倉野憲比古

スノウブラインド

著者名:倉野憲比古(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2008.06
ISBN :9784163271101


『葉桜の季節に君を想うということ』『イニシエーション・ラブ』の次はこれを読め!

と帯にあったので、読みました。
倉野憲比古のデビュー作「スノウブラインド」
でも・・・
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2008年06月21日

「隠蔽捜査」今野 敏

隠蔽捜査

著者名:今野敏(著)
出版社:新潮社
出版年:2008.01
ISBN :9784101321530


好評の今野敏「果断 - 隠蔽捜査2」の予習として、1作目の「隠蔽捜査」を読みました。

硬いタイトル、警察庁建物(たぶん)の表紙、強面のする作者の顔からして、物語も、もっと硬くて、警察庁、警視庁の機構の違いなど分かりにくて、ややこしく、ギラギラの権力闘争があるのかな、と思ってましたが、正反対で、分かりやすく、読んでて笑いっぱなしでした。(もしかして、私だけ??)

ちょっと拍子抜け気味。

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2008年03月22日

「少年検閲官」北山猛邦

少年検閲官

著者名:北山猛邦(著)
出版社:東京創元社
出版年:2007.01
ISBN :9784488017224


北山猛邦「少年検閲官」は、独自の世界観を構築し、その世界のルールの中での「ミステリ」を描いた物語。

最初は、なかなかファンタジーのような物語世界に入り込めず、苦労しましたが、途中からはくいくい読めました。

お話は・・・
何人も書物の類を所有してはならない。もしもそれらを隠し持っていることが判明すれば、隠し場所もろともすべてが灰にされる。僕は書物というものがどんな形をしているのかさえ、よく知らない―。旅を続ける英国人少年のクリスは、小さな町で奇怪な事件に遭遇する。町中の家々に赤い十字架のような印が残され、首なし屍体の目撃情報がもたらされるなか、クリスはミステリを検閲するために育てられた少年エノに出会うが…。書物が駆逐されてゆく世界の中で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。

ミステリとしては、「首なし屍体」という、私の大好きなガジェット≠扱っているのに、肝心のトリックはお粗末。
まあ、トリックよりも、犯行の動機こそが主眼であり、物語世界ならではの真相がユニークです。

ただ、ひたすらにおぞましい動機であり、映画化もされたジュースキントの「香水」やエド・ゲインを思い出しましたよ、私は。

ところが、ほとんど、そんなことを感じさせない筆致で、さらりと流すところは、うまいです。

にしても。どうしてこれが、高く評価されているのかよく分かりません。
とか言いながら、作者によると、三部作らしいので、次作が出ればやっぱり読むんだろうなあ・・・
エノとクリスのその後も気になることだし・・・
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2008年03月05日

「ブラック・ジャック・キッド」久保寺健彦

ブラック・ジャック・キッド

著者名:久保寺健彦(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.11
ISBN :9784103059714


たまにはミステリ以外のものも、てなわけで久保寺健彦「ブラック・ジャック・キッド」です。

手塚治虫の名作『ブラック・ジャック』をこよなく愛する小学生の和也。「患者」を探して団地を駆け回る毎日にも、否応なく現実ってやつが影を落とす。両親の離別、転校、いじめ…。そんな和也に、少女マンガに夢中の宮内君と、眼鏡を外すと超綺麗な泉さんという親友ができて…。恐るべき新人が描く、ほろりと切ない青春小説の傑作!第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

かわいい表紙の装画を見てもお分かりの通り、小学3年生にしてブラック・ジャックになりたかった℃蜷l公、織田和也くん。

ネコやフナの死骸を解剖したりする最初の方は、久しぶりに大爆笑!!

「やりなよ、アッチョン」
ギクッとして顔を上げたら、上野がこっちをジッと見ていた。
「せっかく見つけたんだから、オペしなよ」


一応、日本ファンタジーノベル大賞で賞を取ってるんだけど、一体どこがファンタジー? と思うほど、ファンタジー、SF味は希薄です。
まあ、和也くんが、両親の離婚、引越し、いじめなどを経験しつつ、だんだんオトナになってく過程がいいです。

もちろん、「ブラック・ジャック」は読んでいた方が面白いに決まってますが、読んで無くても大丈夫。
他に、「ガラスの仮面」や「エースをねらえ!」なんかも(名前だけですが)出てきます。

(アッチョン≠ヘ、ピノコの口癖のアッチョンブリケ!≠ゥらきた和也のあだ名です)
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2007年12月04日

「長く冷たい眠り」北川歩実

長く冷たい眠り

著者名:北川歩実(著)
出版社:徳間書店
出版年:2007.06
ISBN :9784198623425


まずはじめに、本書の短編の共通テーマである冷凍睡眠(コールド・スリープ)という言葉から、まず連想したのは、
護民官ペトロニウスでした。

書き下ろし1篇を含む7編の短編集ですが、そのどれもが多少なりとも、冷凍睡眠を扱っているわけですが、SF的なところはまったくなく、どれもが少し重ためのミステリです。

冷凍睡眠と言っても、詐欺の手段に使われていたり、カルト教団で極秘に実験が行われているらしい、などといった形での扱いです。
(というか、どの作品でも、否定的なニュアンスでしか取り上げられていません)

7編の中では、「素顔に戻る朝」が素晴らしい!!
短編にしてしまうには、もったいない!! この顔無し死体のトリックは、長編にしてじっくり描いて欲しかったです。
(私は北川弘実は初読みなんですが、本格の作家ではない?)

ネタバレになるので詳しくは書けないものの、何故、首を切ったのか?≠ニいうホワイダニットに対して、あまりにも、簡単に答えを出しすぎてます。
(読めば分かりますが、答えが先に出てるんです!!)

どのくらいもったいないのか、みなさんも一度、読んでみて下さい。
特に本格好きの方。

ところで、冒頭の護民官ペトロニウスは、もちろんハインラインの不朽の名作「夏への扉」の猫のピートくんのこと。
ここでは、くどくど書かないので、未読の方(これから読めるなんて羨ましい!!)は、是非冬休み中に読んで下さい。
たちばなからの宿題です。

夏への扉

著者名:ロバートA.ハインライン(著)
福島正実(訳)
出版社:早川書房
出版年:1979.05
ISBN :9784150103453

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2007年11月01日

「夕陽はかえる」霞 流一

夕陽はかえる

著者名:霞流一(著)
出版社:早川書房
出版年:2007.10
ISBN :9784152088611


霞流一「夕陽はかえる」は、本の帯にもあるように

不可能犯罪(ロックトルーム)×非情活劇(タランティーノ)×謀略(エスピオナージュ)

の一言で、言い尽くされます。

殺し屋が繰り広げる殺し合いの修羅場で殺人事件。
殺し屋の探偵が、殺し屋殺しの謎を巡り、殺し屋の容疑者を追及!

任侠推理か、マカロニ本格、それともパズル・ノワール?!

プロの暗殺組織〈影(えい)ジェンシー〉で実務を手掛ける〈影(えい)ジェント〉の一人、〈青い電光のアオガエル〉が不可能状況で殺された。明らかに同業者の手口。同僚の瀬見塚眠(せみづか・みん)は、〈カエル〉の遺族の依頼で真相を追う。だが、〈カエル〉の後釜を狙う〈影ジェント〉たちが瀬見塚に刃を向け、彼らの怪奇を尽くした決闘の応酬は〈東京戦争(トーキョー・ウォーズ)〉と呼ばれるほどに発展していく。殺し屋による殺し屋殺しと推理の行方は? 背徳のSin本格誕生!

本格ミステリ部分は、そこそこ面白かったんですが、やはりメインは、活劇部分。
とにかく、戦う、戦う!! ミステリ部分よりも、この〈影ジェント〉たちの戦いを楽しめるかどうか? がこの作品を楽しめるかどうか? です。
それがすべてです。
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2007年10月23日

「サクリファイス」近藤史恵

サクリファイス

著者名:近藤史恵(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.08
ISBN :9784103052517


泣けました。
泣けるって聞いてたのに、泣いてしまいました。

各方面絶賛の近藤史恵「サクリファイス」
やっぱりよかったです。

ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。

前半は、スポーツ・ドラマ。自転車ロードレースのチームで戦う白石誓(ちか)。
競輪じゃなくて、ツール・ド・フランスみたいな一般道を走り、エースを勝たせる為に、アシストが、前を走って風除け役になったりして、チームの勝利を目指すのが、ロードレース。

自分が勝つことにこだわれない、、チームのエースを勝たせる為に犠牲になるアシストに徹するアシスト役の誓と、野心を持ち続けるチームメイトの伊庭との対比も面白いです。

後半は、エース石尾が関わった、過去のある事件の謎を中心に、誓の元彼女の初野香乃(はつの・かの)や、過去の事故で車椅子生活を余儀なくされている袴田たちを巻き込みながら展開していきます。

そして、ラストで真実が明らかになり、鮮やかに浮かび上がる「サクリファイス」の本当の意味。。。

この作品は、純粋なミステリとは言えないかも知れませんが、それまでのレースで起こった様々な出来事が伏線として、最後に一つに収斂していくカタルシスは、まさに本格ミステリの醍醐味。
押し寄せる感動の波状攻撃(?)が素晴らしすぎます。

ロードレースなんか知らない、興味ない、という人も、是非、読んでみて下さい。ネタバレです
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2007年10月09日

「ぐるぐる猿と歌う鳥」加納朋子

ぐるぐる猿と歌う鳥

著者名:加納朋子(著)
出版社:講談社
出版年:2007.07
ISBN :9784062705837


もしかすると加納朋子を読むのは、デビュー作の「ななつのこ」以来かも・・・。

五年生に進級する春、高見森(しん)は父親の転勤で東京から北九州へ転校することになった。わんぱくで怪我は絶えないし、物は壊すし、友だちは泣かせるしで、いじめっ子の乱暴者というレッテルをはられていた森の転校を聞いても、先生どころかクラスメイトのほとんど誰も残念がってはくれなかった。そんな森だったが、引越し先の社宅の子どもたち―ココちゃん、あや、竹本兄弟、パックとは不思議に気があった。彼らは森をまるごと受け入れてくれた。しかし森は次第に感じていた。この社宅には何か秘密がある。もしくは謎が…。
(「BOOK」データベースより)

謎は、主にプロローグやモノローグに出てくる、森たちの過去に関するもので、ストーリーの本編とは、あんまり関係ありません。
そこが弱いと言えば、弱いわけですが、ストーリーは、ほのぼのした子供向けのもので、同じミステリーランドでも、例の麻耶雄嵩「神様ゲーム」のようなハードな内容ではありません。

それにしても、子供たちが話す北九州弁は、

「そんなちゃちゃちゃちゃ言っとらんちゃ。」
あやが不満そうに言い、自分で気づいてにやりと笑った。「あー、言うとるっちゃね。」


などなど、読んでて気持ちよく、カワイイです。(ちょっと読みにくいですけどね)

加納朋子ファンの方は、どうぞ。私は「神様ゲーム」の方が好きです。
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2007年09月17日

「浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話」鯨統一郎

浦島太郎の真相

著者名:鯨統一郎(著)
出版社:光文社
出版年:2007.05
ISBN :9784334076542


鯨統一郎と言えば、やはり、デビュー作の「邪馬台国はどこですか?」でしょう。

この「浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 」は、こんな内容の連作短編集です。

ここは「森へ抜ける道」という名の日本酒バー。常連の僕・工藤と山内、マスター・島の「ヤクドシトリオ」は、今夜も益体もない話に花を咲かせている。私立探偵である僕が、どうしても謎が解けない殺人事件のことを話すと(というか、山内とマスターが勝手に話してしまうのだ)、同じく常連の美人大学院生・桜川東子(はるこ)さんは、上品にグラスを傾けながら、なぜか日本のお伽話になぞらえて鮮やかな推理を展開する―驚嘆、そして思わず納得。『九つの殺人メルヘン』に続く、珠玉のバーミステリー。
(「BOOK」データベースより)

昔話の真相と、事件の謎解き、そしてもうひとつ、お話とはほとんど関係のない昔懐かしいアニメや深夜ラジオ、フォーク歌手などについての雑談が、毎話、前フリとしてあります。
「邪馬台国はどこですか」にはなかったお遊び部分で、これが実に楽しい。

とは言え、今作でも、昔話の真相の謎解き部分は、今まで考えたことのないような角度からのアプローチで、ホントかな? とは思うものの、煙に巻かれるような見事さです。

特に「浦島太郎の真相」「桃太郎の真相」が秀逸。
機会があれば前作「九つの殺人メルヘン」も読んでみたいです。
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2007年09月15日

「四神金赤館銀青館不可能殺人」倉阪鬼一郎

四神金赤館銀青館不可能殺人

著者名:倉阪鬼一郎(著)
出版社:講談社
出版年:2007.07
ISBN :9784061825390


やっぱり読むんじゃなかったかなあ・・・倉阪鬼一郎「四神金赤館銀青館不可能殺人」・・・(ちなみにこれはよつがみ・きんせきかん・ぎんせいかん・ふかのうさつじん≠ニ読みます。四神は地名で、金赤館と銀青館で起こった不可能殺人のお話です)

軽く考えて読み始めたものの、同じバカミスでも、極めて真面目に書いててバカミス呼ばわりされる作品と、初めからバカミスを目指して書かれた作品では、やっぱり前者の方がいいです。

たのみの驚天動地のトリック≠烽サれほど、すごくないし、バカミス度も中途半端な感じで、一番笑えたのは、著者の写真です。

せっかく倉阪鬼一郎の初読ということで、期待もしてたのに、残念です。

んー、困った。

次回作も読むかと訊かれたら、「分からない」と、答えますが、楽しめたかと訊かれたら、「そこそこ」と答えることにします。

〔そうなんですよねー、ネタバレになるので書けませんが、この作品読んだ人ならわかりますよね? 私がいかに楽しんでいるかが〕
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2007年08月27日

「ロスト・チャイルド」桂 美人

ロスト・チャイルド

著者名:桂美人(著)
出版社:角川書店
出版年:2007.07
ISBN :9784048737838


第27回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作「ロスト・チャイルド」、読みました。
ストーリーは…

法医学教室の助教授・神(じん)ヒカルは、監察医務院で外国人グループの襲撃にみまわれる。次々と犠牲者が発生するなか襲撃犯のターゲットは、解剖室に運ばれた女性国際スパイ“ジュリエット”と判明、その死体にはある機密が隠されているという。さらに彼らはヒカルのことを知っていた。誰にも触れられたくない“あの忌まわしき過去”のことも…。襲撃犯の真の目的とは一体何なのか?そして、ヒカルにまつわる悲劇と驚愕の秘密とは―?いま、前人未踏の物語が、ここに疾駆する!

前半は、ストーリー云々以前の問題として、三人称の視点がバラバラで、とても読みにくかったです。例えば、22ページ。

 警察だって当てにできない。通報を受けてから最初の警官が現場に到着するのに四、五分。同時進行で初動捜査専門の機動捜査隊が動くが、ろくに射撃練習もしていない刑事たちに機関拳銃を所持する相手に何ができる。

文脈からすれば、ここは、ヒカルの視点のはずなのに、いきなり神(かみ)の視点になってます。(法医学の助教授のヒカルは、こんな専門知識は持ってないはず)

などと、私は気になって仕方なかったんですが、巻末の選評を読むと、審査員の先生方は、あまり気にしてないご様子。

ハッキリ言って、物語の核となる遺伝子の話も、よく分かりませんでした…

他にも、いろいろありますが、もういいです。
私にはおそらく、もう一作の受賞作である大村友貴美「首挽村の殺人」の方が向いているんでしょう、たぶん。(← 投げやり?)
posted by たちばな ますみ at 11:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内作家・か行