エコール・ド・パリ殺人事件
著者名:深水黎一郎(著)
出版社:講談社
出版年:2008.02
ISBN :9784061825857
深水黎一郎の「エコール・ド・パリ殺人事件」。
メインである、クラシカルな密室の謎に加えて、エコール・ド・パリの芸術家たちに関する「レザルティスト・モウディ」という作中作の内容も楽しめる、1冊で2度美味しいミステリ(?)。
お話は・・・
モディリアーニやスーチンら、悲劇的な生涯を送ったエコール・ド・パリ(パリ派)の画家たちに魅了された、有名画廊の社長・暁宏之が密室で殺されるが、貴重な絵画は手つかずのまま残されていた。生真面目な海埜(うんの)刑事と自由気ままな甥の神泉寺瞬一郎が、被害者の書いた美術書「呪われた画家たち(レザルティスト・モウディ)」をもとに真相を追う。
芸術論と本格推理をクロスオーバーさせた渾身の一作。
エコール・ド・パリに関する美術書、作中作の「呪われた画家たち(レザルティスト・モウディ)」は、これだけでも興味深く、楽しく読めます。
(美術音痴の私でも面白かったです)
さて、肝心のミステリ部分は、その事件そのものと「呪われた画家たち」の絡み具合が読みどころ。
これは本格ミステリなので、絶対事件に関係があるんだろうな、と思いつつ読んでいると・・・
ネタバレ反転
(てことは、芸術家的動機? と思った時点で犯人は分かってしまいますよね・・・
分かりはしますが、龍子が筆を持つことを許されなかったことが動機の一つであり、エコール・ド・パリの作家のエピソードとシンクロして、それが被害者が書いた本でありながら、被害者本人は、それに気づかないという皮肉。
また、殺害方法も、宏之に対する復讐にもなっていて実にエクセレント!!
「読者への挑戦」は、あまりにも不確定要素が多すぎで、あれでは分からないでしょ・・・
(小平と桃山の一件なんか推理不可能です)
ところで、宏之が急遽、前日にキャンセルしたオークションって、何のことだったんでしょう? 病院?
それと、執事視点のプロローグには、特に叙述トリックなんかでは無かったんですね・・・深読みしすぎか・・・)
密室事件そのものは、大したことないかも、ですがオススメの1冊です。

