聖家族
著者名:古川日出男(著)
出版社:集英社
出版年:2008.09
ISBN :9784087712551
古川日出男のデビュー10周年の集大成、「聖家族」。
この素晴らしい小説を体験してみて、としか言えません。
東北六県の妄想の歴史。そして、伊藤ガマル・・・
お話は・・・
異能の者を輩出しつづける青森の名家・狗塚(いぬづか)家。
平成X年現在、孫たちは三人。
半ば人ならざる存在の長男・牛一郎(ぎゅういちろう)。
死刑囚となった次男・羊二郎(ようじろう)。
胎児と交信する妹・カナリア。
「異能の者」とは何か?「天狗」とは?「家族」とは?「故郷」とは?「日本」とは?
排除され流亡せざるをえなかった者たちが、本州の果て・東北の地で七百年にわたり繋いで来た「血」と「記憶」。生の呪縛と未来という祝福を描く、異形の超大作。
あらすじは、意味無し。
いくつもの雑誌、メディアで発表された作品(短編も含めて)を1冊にまとめたメガノベル≠ェ、
この「聖家族」。
桜庭一樹曰く、
まるで、異国のコトバで刻まれた魔道書だ。
もちろん、集大成なのだから、過去の古川作品を彷彿とさせる箇所も多々あります。
もちろん独特の、シャウトするような文体も、いつも通り。
狗塚3きょうだいを物語の中心に据えて、東北六県をその舞台として繰り広げられる、めくるめく年代記。
好き嫌いはあるとは思いますが、読まないのはもったいなすぎるじゃないですか?
それって、面白くないじゃないですか?
読みながら、思い出したのが、桜庭一樹の「赤朽葉家の伝説」。
赤朽葉万葉、毛毬、瞳子の三代にわたって鳥取県で繰り広げられる物語。
作者・桜庭一樹は生まれ故郷の鳥取を舞台にし、古川もまた、出身地である福島を含む東北を舞台に選んだ。。。
ただ、「赤朽葉」が、女三代記と日本の歴史の面白さだったのに対し、「聖家族」は、東北と、きょうだいたちの年代記だけでは括りきれないスケールの大きさと、混沌の物語です。
「赤朽葉」は、私の今年読んだ本のベストの1冊でしたが、「聖家族」を読んだ今、はっきり言って霞んでしまいました。
東北の歴史と、異能の一族の歴史。
読み始めたら止まらないけれど、読んでも読んでも終わらず、でも、面白い。
古川日出男に圧倒されっぱなしの2,000枚。
牛一郎も、羊二郎も、カナリアも、秋も、夏も、みんないとおしい。
犬たちも、馬たちも、みんなみんな・・・
古川自らが、この10年の集大成という言葉に偽りなく、読んで損なし「聖家族」。
古川日出男という作家の乾いた情念の迸り。精魂を傾けて書き上げた渾身の小説。
ここまでのものに出会うことは、ざらにはありません。
とにかく、読め!!
古川のHPに、「聖兄弟」の朗読コーナーがあるので、是非、聴きながら読んでみて下さい。(本文P225下段部分です)
親から黙殺された子供たち。
寄る辺ない魂は時間の縛りを超えて彷徨し、咆哮する。
これが愛だ。ここが中心だ。
俺たちが歴史だ。
デビュー十周年の集大成。
最大最長最高傑作二千枚。
(本書帯より)
え、伊藤ガマル? 読んで、笑って下さい。

