君の望む死に方
著者名:石持浅海(著)
出版社:祥伝社
出版年:2008.03
ISBN :9784396208455
「君に望む死に方」は、石持浅海による「扉は閉ざされたまま」の続編。
碓氷優佳。彼女は、いったい何者だ?
まあ、これだけ切れ者なのに、これだけ嫌われてる探偵も珍しいと思います。
私は、「扉は閉ざされたまま」に続いて探偵役の碓氷優佳(うすい・ゆか)チャン、前作に比べると、少し丸くなってたので、大好きになってしまいました。
(あ、同じ石持浅海の「月の扉」「心臓と左手」の探偵役の座間味くんも嫌われ者ですよね。この作者、ちょっと変わってる?)
さて、物語は、「扉は閉ざされたまま」から二年後。
ある企業の熱海の保養所で幕を開けます。
先入観なしで読んだ方が面白いと思うので、ストーリーは、今回は載せませんが、お話としては、独立してるので、「君の望む死に方」から先に読んでも問題なしです。
ただ、優佳チャンに関して、いったい何者? という大きな疑問が出てくると思うので、やっぱり「扉」から読む方がいいかも。
それにしても石持浅海、今回もやってくれました。
私は君に殺されることにしたよ。
しかも殺人犯にはしない―――。
どうですか?? この惹句?? 意味分からんでしょう!?
面白そうでしょ??
そりゃあ、今回も前作同様、動機は弱いし、優佳チャンは勝手に首突っ込んでくるし、表紙はアレだし・・・(表紙の見返しの左から二人目、メガネのおじさんって、作者ですよね?)
でも、面白い!!!
何よりも、このオリジナリティ!! 今回は、その事件が「起きるまで」のお話。
私は、作者が一番、努力していると思います。続編を希望するのは簡単だけど、書く方は簡単じゃないですよ。
(まあ、これは倒叙三部作らしいので、少なくともあと一編は読めるんですよね)
そして、今回も、嫌われつつも鋭い推理で追い詰めていく、美しき、おせっかい探偵(?)碓氷優佳。
前作「扉は閉ざされたまま」では、その場面、場面での対決状態だったのが、今作では、ラストでの全面対決になってて、そこでの伏線の回収が、やっぱりお見事。
これだけオリジナリティのある状況設定の物語を書ける石持浅海という作家の作品を、こうしてリアルタイムで読めるしあわせを私は感じてます。
必読の一冊。
ラストについてネタバレ(ラストを解くヒントは、プロローグにあたるP9の最後の行にあり。
もしも、日向が梶間を返り討ちにしていたら、夜のうちに通報するはずなので、これはありえません。
梶間が日向を首尾よく殺していたとすれば、朝になっての通報になりますが、この場合、最後の行の人が死んでいる≠ナはなく殺されている≠ニ通報すべきなのでは?
さらに、殺されていれば、救急車は呼ばずに、絶対警察に通報するはずでしょう?
と、言うことは、答えは一つ。
日向は、梶間が部屋に来てから後に、殺されたのではなく、死んじゃったのですよ。
例えば、酒の飲み過ぎとか、梶間と戦ってるうちに頭に血が上って脳梗塞になったとか、心筋梗塞になったとか・・・
で、自然死に見せかけるために、梶間はそっと部屋を出て、朝になって小峰さんが見つけたというのが、真相です。以上QED。
もしくは、園田または堀江の自殺という線もあり。)
「扉は閉ざされたまま」感想


ここまで丁寧に事件が起きるまでを書いてる作品って珍しいんじゃないでしょうか?
優佳の切れ味の良さ、やっぱり怖い気がします。
ラストについてネタバレ、疑問が解けてスッキリしました。
それでいて、ぐいぐい読ませるのが、さすが石持浅海って感じです。
ところで、WОWОWのドラマは、どうだったんでしょうか?
私は予告篇しか観られなかったんですが、優佳チャン役は、黒木メイサの方が、イメージに合ってる気もするんですが。