賢者の贈り物
著者名:石持浅海(著)
出版社:PHP研究所
出版年:2008.03
ISBN :9784569698496
石持浅海の「賢者の贈り物」、思わぬ拾い物でした。
PHP文庫「文蔵」に、隔月連載されていた、童話やО・ヘンリーの物語などをモチーフにした短編集。
(特に決まった登場人物も探偵役もなく、ただ磯風さんという名前の美人の女性が毎回登場しますが、同一人物ではありません。よね?)
ついつい、一気に読んでしましましたが、もったいないことをしました。
出来れば一日一話が理想かも。
お話は、石持浅海お得意の安楽椅子探偵もので、同じ石持の、「Rのつく月には気をつけよう」の1話に出来そうなくらい、雰囲気がそっくりのものもありました。
人は死なない、犯罪もない(犯罪ではなく、高校生のテストでのカンニングくらい)なかでの、日常の謎ばかり。
が、しかーし!!
これが、実に本格してて面白い!!
例えば
同期の3人の女の子を呼んで開いた週末の鍋パーティー。みんなを送り出した翌朝、部屋には、女物の靴が一足。代わりにサンダルがなくなっていた。週明けに出社しても、誰もその間違いを言ってこないのはなぜか? その動機と誰かを推理する「ガラスの靴」。
フイルム・カメラから、デジタル・カメラに切り替えた私に、妻がプレゼントしてくれたのは「カメラのフイルム」だった。私がフイルム・カメラを使用していないことは、妻も知っているはずなのになぜ? 有名なО・ヘンリーの表題作に相応しいロジックの面白さの「賢者の贈り物」。
他にも、オブラートに書かれたカンニング・ペーパーの謎を、試験中にひたすら解く「可食性手紙」や、ラストのサプライズに思わず笑みがこぼれる「泡となって消える前に」など、粒ぞろいの短編ばかりです。
それにしても、ページ数の割には、ロジックのこねくり回し度は高く、特に巻頭の「金の携帯 銀の携帯」なんか、もう、どうでもいいよ・・・と思わせるくらいに執拗に、一人で、あーでもない、こーでもない、と論理に淫してます。
まあ、それも石持浅海ならではの面白さ。PHP研究所から出てて、面白みのないタイトル、地味すぎる表紙、小さくて薄すぎる作者の名前、にめげずに是非、読んで欲しい一冊です。


