2007年09月29日

「木漏れ日に泳ぐ魚」恩田 陸

木洩れ日に泳ぐ魚

著者名:恩田陸(著)
出版社:中央公論新社
出版年:2007.07
ISBN :9784120038518


一年前に起こった、ある出来事の真相について、一組の男女、ひろと、あきが、最後の一夜を語り明かす・・・
そして、記憶の底から徐々に明らかになってくる真実とは何だったのか・・・?

といのが「木洩れ日に泳ぐ魚」のおおまかなストーリー。
ハッキリ言って、これ以上は書けません。謎解きも、何となく(いつものように?)曖昧なままだし、興味をひかれるのは、ストーリーくらいなので、それを書いてしまうと、全く面白くない話になってしまいます。。。

各章ごとに、あきと、ひろの交互の一人称で語られる、なんて書くと、お、●●●トリック!? とか、ついつい考えがちですが、さて、どうでしょうか?
気になる方は、是非、ご一読を。

最初の方は、セバスチアン・ジャプリゾ「シンデレラの罠」(必読!!)を思い出して、ちょっと期待したんだけどなあ・・・

シンデレラの罠

著者名:セバスチアン・ジャプリゾ(著)
望月芳郎(訳)
出版社:東京創元社
出版年:2007.09
ISBN :9784488142018

posted by たちばな ますみ at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 恩田 陸

2007年09月27日

「Rのつく月には気をつけよう」石持浅海

Rのつく月には気をつけよう

著者名:石持浅海(著)
出版社:祥伝社
出版年:2007.09
ISBN :9784396632878


「人柱はミイラと出会う」に続いて石持浅海による、安楽椅子探偵ものの連作短編「Rのつく月には気をつけよう」です。

「人柱」を紹介した時に、アシモフ「黒後家蜘蛛の会」に触れましたが、この「R」の方は、「黒後家蜘蛛の会」の小型版とも言うべき設定になってます。

湯浅夏美と長江高明、熊井渚の3人は大学時代からの呑み仲間。毎回誰かが連れてくるゲストは、定番の飲み会にアクセントをつける格好のネタ元だ。酔いもまわり口が軽くなったところで盛り上がるのはなんといっても恋愛話で―小粋なミステリー短編。
(「BOOK」データベースより)

毎回、誰かが呑み会にゲストを招いて、その人の話を聞いて、謎解きをする、という流れな訳ですが、酒の種類と肴も毎回違ってて(肴は、そば粉のパンケーキだったり、ぎんなんだったり)、酒の飲めない私でも、ちょっと味見したくなってくるほど美味しそう。

謎解き自体は、「悪魔的な頭脳を持った」長江が担当。ぐらぐら感のある、ロジックの危うさが美しくていいです。
人も死なない、犯罪ですらない、謎解き。(ゲストが、雑談のつもりで話している中から、謎を見つけて解いてしまう、という素晴らしさ!!)

中でも最終話「煙は美人の方へ」では、2種類のひねり技があって、キレイなシメでした。

(また、本の装丁、題字、イラストなどなど、内容にピッタリで、1冊の本としてまとまっていて、手元に置いておきたくなる作りです)
posted by たちばな ますみ at 10:31| Comment(2) | TrackBack(1) | 石持浅海

2007年09月24日

「首挽村の殺人」大村友貴美

首挽村の殺人

著者名:大村友貴美(著)
出版社:角川書店
出版年:2007.07
ISBN :9784048737845


桂美人の「ロスト・チャイルド」に続いて、第27回横溝正史ミステリ大賞受賞作大村友貴美「首挽村(くびきむら)の殺人」です。

「ますます事件は奇怪だ。尋常ではないね」岩手県の雪深い村・鷲尻村。無医村の状態が続いていたこの村に、東京から待望の医師・滝本志門(しもん)がやってきた。しかし、滝本の着任以後、村では謎の変死が立て続けに起こる。それは、殺害後の遺体を異様な形で人目に触れさせるという、前代未聞の連続猟奇殺人事件だった。この村が「首挽村」という不吉な名前で呼ばれる理由とは?村人すら忘れかけていた忌まわしい過去が、事件の真相を浮かび上がらせる―。
(「BOOK」データベースより)

横溝正史ミステリ大賞に相応しく、東北の過疎に悩む寒村に起こる殺人事件。

会話が、方言使ってたり、標準語使ってたりで、統一性がないとか、三人称多視点で語られるので、怪しいな? と思ってた人が犯人ではないとすぐ分かってしまったり・・・瑕疵も多少ありますが、「ロスト・チャイルド」に比べれば、全然、気になりません。大丈夫です。

とにかく、見立て殺人をはじめとして、全編にわたって横溝の作品を意識した構成で、非常に楽しめました。
一つ残念なのは、きちんとした探偵役がいないことでしょうか・・・
(やっぱり、藤田警部補が探偵役?)
本格ミステリなんだから探偵役がいないとなあ・・・。

しかし、デビュー作としては、十分良かったです。
本格好きな人、横溝好きな人だったら、目次の各章のタイトルを読むだけでも、ワクワクしてくるはずです。

大村友貴美、次回作にも期待しましょう。
posted by たちばな ますみ at 05:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内作家・あ行

2007年09月21日

「インシテミル」米澤穂信

インシテミル

著者名:米澤穂信(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2007.08
ISBN :9784163246901


米澤穂信による、ガチガチのクローズド・サークルもの。
「館もの」と言うよりは、「バトル・ロワイヤル」プラス「そして誰もいなくなった」のイメージで読みました。

11万2千円の時間給につられて集まった12人の参加者。暗鬼館=iあんきかん)と呼ばれる地下の建物の中で、7日間過ごすことが条件である。
しかし、その中で、究極の殺人ゲームが始まっていく・・・

参加者には、殺人用として、一人一つずつの凶器(?)がもらえる訳ですが、そうなると、私は、やっぱり「バトロワ」を、思い出してしまいます。
(私は未だに映画しか観てませんが)

「バトロワ」と違って、たった12人しかいないのに、ロープとか氷の●●●なんてふざけてません?
ぬるすぎでしょう?? これじゃあ、人が、なかなか死なないのも仕方なしです。
(まあ、これはミステリですから、いいんですけどね…)

ところで、ゲームのルールが、曖昧のような気がして、読んでてすごく気になりました。
一番気になったのは、ボーナスの規定です。ここが大事なのにね。
他にも、岩井の報酬は、あれでよかったの? とか。。。

トリックでは、最初に死んだ西野に関するものが、動機、方法ともに良かったです。
(と言うよりも感心したのはここだけ)
以下、ネタバレです
posted by たちばな ますみ at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤穂信

2007年09月18日

「ソロモンの犬」道尾秀介

ソロモンの犬

著者名:道尾秀介(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2007.08
ISBN :9784163262208


道尾秀介による爽やか青春ミステリ。
前作「片眼の猿」では、ラストに力技のトリックの連発がありましたが、「ソロモンの犬」はちょっと違います。

大学生である秋内静(あきうち・せい)、羽住智佳(はずみ・ちか)、友江京也(ともえ・きょうや)、巻坂ひろ子らの目の前で、大学の椎崎助教授の息子・陽介が、突然飼い犬に引っ張られて交通事故で亡くなる。
何故、愛犬オービーは、暴走したのか?

と、ストーリーは、いたってシンプル。
「片眼の猿」に比べても、ストーリーとトリック、シカケがしっくりしてます。

全体にわたる大きなシカケ、オービーが暴走した理由、その他いつものように細かな伏線などなど、小説としてトリックが頭でっかちになったりしていなくて、良かったです。

空も地面も、灰色だった。

の一文ではじまり、(よく考えると、これも伏線?)少し暗めのテイストですが、読後感は青春真っ只中!!なカンジなので、道尾秀介初めての人にも、オススメです。
「向日葵の咲かない夏」の陰鬱さに挫折してしまった方も、どうぞ)

キャラクターとしては、動物生態学者の間宮未知夫(まみや・みちお)が、ユニークですね。
(ヘンなキャラですが、一応、探偵役ですしね)
posted by たちばな ますみ at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 道尾秀介

2007年09月17日

「浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話」鯨統一郎

浦島太郎の真相

著者名:鯨統一郎(著)
出版社:光文社
出版年:2007.05
ISBN :9784334076542


鯨統一郎と言えば、やはり、デビュー作の「邪馬台国はどこですか?」でしょう。

この「浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 」は、こんな内容の連作短編集です。

ここは「森へ抜ける道」という名の日本酒バー。常連の僕・工藤と山内、マスター・島の「ヤクドシトリオ」は、今夜も益体もない話に花を咲かせている。私立探偵である僕が、どうしても謎が解けない殺人事件のことを話すと(というか、山内とマスターが勝手に話してしまうのだ)、同じく常連の美人大学院生・桜川東子(はるこ)さんは、上品にグラスを傾けながら、なぜか日本のお伽話になぞらえて鮮やかな推理を展開する―驚嘆、そして思わず納得。『九つの殺人メルヘン』に続く、珠玉のバーミステリー。
(「BOOK」データベースより)

昔話の真相と、事件の謎解き、そしてもうひとつ、お話とはほとんど関係のない昔懐かしいアニメや深夜ラジオ、フォーク歌手などについての雑談が、毎話、前フリとしてあります。
「邪馬台国はどこですか」にはなかったお遊び部分で、これが実に楽しい。

とは言え、今作でも、昔話の真相の謎解き部分は、今まで考えたことのないような角度からのアプローチで、ホントかな? とは思うものの、煙に巻かれるような見事さです。

特に「浦島太郎の真相」「桃太郎の真相」が秀逸。
機会があれば前作「九つの殺人メルヘン」も読んでみたいです。
posted by たちばな ますみ at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内作家・か行

2007年09月15日

「四神金赤館銀青館不可能殺人」倉阪鬼一郎

四神金赤館銀青館不可能殺人

著者名:倉阪鬼一郎(著)
出版社:講談社
出版年:2007.07
ISBN :9784061825390


やっぱり読むんじゃなかったかなあ・・・倉阪鬼一郎「四神金赤館銀青館不可能殺人」・・・(ちなみにこれはよつがみ・きんせきかん・ぎんせいかん・ふかのうさつじん≠ニ読みます。四神は地名で、金赤館と銀青館で起こった不可能殺人のお話です)

軽く考えて読み始めたものの、同じバカミスでも、極めて真面目に書いててバカミス呼ばわりされる作品と、初めからバカミスを目指して書かれた作品では、やっぱり前者の方がいいです。

たのみの驚天動地のトリック≠烽サれほど、すごくないし、バカミス度も中途半端な感じで、一番笑えたのは、著者の写真です。

せっかく倉阪鬼一郎の初読ということで、期待もしてたのに、残念です。

んー、困った。

次回作も読むかと訊かれたら、「分からない」と、答えますが、楽しめたかと訊かれたら、「そこそこ」と答えることにします。

〔そうなんですよねー、ネタバレになるので書けませんが、この作品読んだ人ならわかりますよね? 私がいかに楽しんでいるかが〕
posted by たちばな ますみ at 07:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内作家・か行

2007年09月13日

「疑惑」折原 一

疑惑

著者名:折原一(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2007.06
ISBN :9784163260204


「異人たちの館」以来、久しぶりの折原一です。

振り込め詐欺、放火、騒音おばさん…あなたのそばにひそむ悪意を描いて大好評『冤罪者』『失踪者』シリーズの姉妹篇ともいうべきミステリー作品集。「黙の家」を特別収録。図版多数掲載。
(「BOOK」データベースより)

それぞれに、ひねりもあって、けっこう楽しめました。
特に、連続猟奇殺人犯が乗り合わせていると思われる新潟行きの列車での出来事を描いた「危険な乗客」は、この短編集の中では、異質かもしれませんが、一番面白かったです。

それとボーナストラックの「黙の家」は、元版を読んでないので、何とも言えません。。。
posted by たちばな ますみ at 14:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内作家・あ行

2007年09月10日

「首無の如き祟るもの」三津田信三

首無の如き祟るもの

著者名:三津田信三(著)
出版社:原書房
出版年:2007.04
ISBN :9784562040711


愛すべき刀城言耶(とうじょう・げんや)シリーズの第3作目三津田信三による「首無(くびなし)の如き祟るもの」。今作も素晴らしい。

今回、刀城が挑むのは、ズバリ<顔の無い屍体>
とにかく、タイトルからも分かる通り、やたらめったら首無し屍体が登場します。

このテーマを扱ったミステリは、古くは横溝御大の「黒猫亭事件」「悪魔の手毬唄」から、最近では「容疑者Xの献身」(未読)まで、まさに枚挙にいとまがありません。
(私は、密室テーマより、こちらの方がスキです)

世評も上々、くどくどしい民俗学の薀蓄シーンもなく、見取り図がないのが残念≠ニ言われるような複雑な犯行現場の設定も無く、ついでに書くと、刀城の活躍もなく…しかし、ミステリとしては今回もいいです。

特筆すべきは、やはり<顔の無い屍体>に関するトリックでしょう。

いつまでたっても登場しない刀城に代わり、ある人が<首の無い屍体の分類>をするわけですが、(分類自体も前作「凶鳥の如き忌むもの」の時ほど、くどくありません)トリックは、この分類の美しきバリエーション。
首を切る必然性もあり、いつもの如き、ラストでのツイストの連続にも大満足です。


ところで、「首無の如き祟るもの」は、前ニ作に比べて、スッキリしてていいんですが、私は、前ニ作「厭魅の如き憑くもの 」「凶鳥の如き忌むもの」での、くどい民族学講義、分かりにくい家系図、見取り図がないためよく分からない犯行現場の設定、狭く閉ざされた地域、●●●な儀式・・・全部好きです。

褒めてるのか、貶してるのか、分からないような書き方ですが、(三津田先生ゴメンナサイ)
今一番、次回作が待ち遠しいのは、間違いなく、この刀城言耶シリーズです。
このシリーズに、今後も期待します。
posted by たちばな ますみ at 01:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 三津田信三