2007年05月24日

「片眼の猿」道尾秀介

片眼の猿

著者名:道尾秀介(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.02
ISBN :9784103003328


道尾秀介、「向日葵の咲かない夏」が、良かったので、新作「片眼の猿」も、期待しつつ読みましたが、残念ながら、ハズレでした。。。

まず、メインである産業スパイに関してのストーリーが、全然面白くない。
作者が仕掛ける「超絶技巧」のためのストーリー≠ニいう感じがしました。
片眼の猿≠フ話自体は良かっただけに、残念です。

特に、気になる箇所は下記。ネタバレですので注意して下さいね。
posted by たちばな ますみ at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 道尾秀介

2007年05月21日

「物しか書けなかった物書き」ロバート・トゥーイ

物しか書けなかった物書き

著者名:ロバート・トゥーイ(著)
法月綸太郎(編集)
小鷹信光(訳)
出版社:河出書房新社
出版年:2007.02
ISBN :9784309801032


編者・法月綸太郎の紹介によると、「常軌を逸したシチュエーションと、まったく的の絞れないストーリーテリングで読者をキリキリ舞いさせる、「魔球」の使い手で、つねに「オフビートな/不条理な/人を食った/風変わりな」といった形容詞を冠される異才中の異才」ロバート・トゥーイの(たぶん)日本初の短編集。

それにしても、まったく法月の言うとおり。
アル中作家のタイプしたものが、実体化してくる話(表題作)、ゾンビがヒッチハイクする話(「予定変更」)、作家に消されそうになるのに必死で抵抗する小説の作中人物(「いやしい街を…」)などなど、手を変え品を変えで、ホントに楽しい一冊でした。

なかでも、ジャック・モアマンが主役を務める「支払い期日が過ぎて」と「家の中の馬」は、両方面白いんですが、権力に負けずに反撃するという姿勢は爽快ですらあります。。。
(私は、この二編を読んで、キャラは少し違いますが、サキの短編に出てくるクローヴィスというキャラクターを思い出しました)

個人的に好きなのは、少し重めですがジーンときちゃう「そこは空気も澄んで」と、本格ミステリのような「オーハイで朝食を」の二編です。

この短編集、面白いし、読みやすいですよ。おすすめ。
posted by たちばな ますみ at 01:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 海外作家

2007年05月18日

「シリウスの道」藤原伊織

シリウスの道

著者名:藤原伊織(著)
出版社:文芸春秋
出版年:2005.06
ISBN :9784163240206


愚直なまでに自らの信条を通そうとする男・辰村祐介。
その為に、会社でも、左遷されかけたり、窮地に立たされてしまったり。
そして、幼馴染のためなら何の見返りも求めず(拒否さえして)自分の命が危なくても、行動してしまう…これこそがハードボイルドですよね。

広告会社に勤める辰村の営業部が、参加することになった18億の予算のかかったコンペを大きな柱として、25年前に起きたある事件≠ェ再び辰村の前に現れ、これに絡んできます。
(コンペの進め方や、チーム作り、プレゼンなど、業界ものとしても楽しめます)

また、部下に絶対の信頼をおく美人上司、現職閣僚の息子でありながら、辰村にも負けない矜持を持って成長してゆく新入社員・戸塚(彼は辰村よりかっこいいです!)などなど、脇役もとてもいいです。たってます。

犯人の動機の希薄さや、ある人の居所を突き止めるキッカケがご都合主義すぎることや、あまりにもストイックすぎる辰村(でも、ハードボイルドなんだから仕方ないですよね?)なんかは、気になるけれども、目をつぶって読みましょう。
(文春文庫からも上下巻で、出てます。表紙がイマイチなので、今回は単行本を掲載しました)

BGMはもちろん中島みゆき「地上の星」
それから…
posted by たちばな ますみ at 15:10| Comment(0) | TrackBack(1) | 国内作家・は行

2007年05月14日

「向日葵の咲かない夏」道尾秀介

向日葵の咲かない夏

著者名:道尾秀介(著)
出版社:新潮社
出版年:2005.11
ISBN :9784103003311


読み始めは、すごくイヤだったのに、読み終えてみると、今年読んだベストかも? と思える一作でした。怪作にして快作。

イヤなところ(壊れちゃってるお母さんとか、幼児嗜好の●●とか)をちょっと我慢して読み進むと、本格の謎解き部分の面白さに引き込まれてしまいます。
その後に待っているのは、ホラーとも幻想ともつかないような、結構重たいめのラスト。

とにかく、いいです。
首を吊って死んだはずのS君が、あるものに姿を変えて生き返るという異常な設定も、気にせず読んで下さいね。
S君は、自殺なのか? 他殺なのか? 他殺なら犯人は誰か? 二転三転する謎解きの面白さが、異常な設定を気にさせません。
この作品は、本格ミステリですから。

「道尾秀介やるじゃん」というのが私の感想。
「向日葵の咲かない夏」というタイトルも効いてるし、表紙の揺らいだ字体も、カバー写真も、みんなマルです。

でも、最後まで読んでしまうと、あなたも後戻りできませんよ…ふっふっふっ…
posted by たちばな ますみ at 11:14| Comment(2) | TrackBack(2) | 道尾秀介

2007年05月06日

「サマーバケーションEP」古川日出男

サマーバケーションEP

著者名:古川日出男(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2007.03
ISBN :9784163257204


それは東京の井の頭公園からはじまります。
古川日出男を読むのは、今年3冊めです。
こんにちは。
また名前の無い人が主人公です。
元気な小学生たちや、評議会の中学生8人組もいます。
こんにちは。
さようなら。
「自転車で疾走するシーンが、好きです」と僕は言います。

風が吹きます。
「会長さん」
「はい?」
「飛んでいるみたいです」


今回も、好き嫌いが分かれそうです。
だから。

「げ」
「げ」
「げげげ」
「のげ」
posted by たちばな ますみ at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 古川日出男